Higu`s diary

新米データサイエンティストのブログ。技術についてゆるく書きます〜

新卒で読んだ技術書・ビジネス書8選

こんにちは、Wantedlyでデータサイエンティストをしている21新卒の樋口です。

本記事はWantedly 21新卒 Advent Calendar 2021の18日目の記事です!

この記事では入社後に読んで、実務で役に立った本を紹介したいと思います。 中身を忘れてしまった本もあったので、いい機会と思って読み返し、それぞれ面白かったポイントを3つピックアップしました。

これまで読んだ本たち

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技術書

達人に学ぶSQL徹底指南書 第2版

概要

SQLの正しい書き方・考え方を紹介した本。前半はモダンなSQL機能を駆使したクエリの書き方、後半はリレーショナルデータベースの開発の歴史から、SQL を作った人が何を考えて現在の形にしたのかというバックグラウンドについて書かれている。

ポイント

  • CASEは文ではなく式。必ず値を返すため、列名や定数をかける場所、全てに用いることができる
    • ( SELECT, WHERE, ORDER BY, HAVING, PARTION BY, etc. )
  • EXISTは行の集合を入力とする述語(= 真理値を返す関数)。「全てのxが条件Pを満たす」、「条件Pを満たすxが存在する」といった文を書くための量化子として用いることができる
  • HAVINGは集合に対する検索を行う句。CASEと組み合わせることで、柔軟に集合をフィルタリングできる
    • ex) having count(*) * 0.75 = sum(case when score >=80 then 1 else 0 end) -- 75%以上の生徒が80点以上をとったクラスの抽出

感想

SQLは自由度が高く、体系だった知識を身につけないと可読性の悪いクエリを書き続けてしまうと感じたので読みました。自分のニーズにぴったりで、集合論や述語論理を交えて式や文が紹介されており、読む前よりどういう時にどんな構文を利用すれば良いか、区別をつけられるようになりました。演習問題もついているので、しっかり身につくと思います😎

施策デザインのための機械学習入門

概要

機械学習を使ってビジネス上に有益な変化をもたらすには、どんなことに気をつけ、対策する必要があるか紹介した本。”広告画像のパーソナライズ"や、”implicit feedbackを用いたランキングシステムの構築”など実践的な例を使って、解くべき問題を定め方や、学習データと実世界のデータの乖離を定式化、モデルへの反映方法などを紹介している。

ポイント

  • 機械学習実践のためのフレームワークには以下のステップが存在する
    • KPIの設定 → データの観測構造のモデル化 → 解くべき問題の特定 → 観測データのみを用いて解く方法を考える → MLモデルの学習 → 施策の導入
  • 手元にあるデータの最適化が、真の目的関数の最適化と近似できるのか意識する
  • Implicit feedbackを使ったランキングモデルにおいて、ナイーブにログデータに対して最適化を行うと、上位ポジションのアイテムが過大評価され、バイアスを強めるループを生んでしまう

感想

学生時代に取り組んでいた研究や、データ分析コンペでは、手元にあるデータを使って、モデルの損失関数を最小化することがそのまま、真の目的関数の最適化をすることと等しいケースが殆どでした。一方で会社に入ってから取り組んだ施策においては、そもそも”どんな指標を最適化するべきか”から決める必要があったり、学習データとテストデータに大きな乖離があったりで非常に苦戦しました。。。

この本は機械学習モデルを精度良く学習させるためのノウハウではなく、機械学習を使って、ビジネス上で有益な変化をもたらせるに必要な前段階に焦点を当てており、上記のような、実務で改めて考える必要が生まれた領域に対して非常に参考になりました。

ロジカルシンキング

自分のアタマで考えよう

概要

ちきりんさんがブログを書くにあたって、日常的に使っている「思考のワザ」を紹介した本。 情報を与えられた時、いかに洞察を得て、有用なアウトプットを出すにはどうすれば良いか、彼女自身の思考のワザの使用例を交えながら説明している。

ポイント

  • 知識は過去に他の人が、その人の頭で考えたこと。「自分の頭で考える」とは知識と自分の思考を切り分けることから始まる
  • 「考える」とは情報→結論に変換するプロセス。仕事中に結論を出さず、単に情報収集に終始してないか自覚しよう
  • 全ての分析の基本は比較から始まる。縦(=時系列)の比較、横(=他者)の比較の2軸で行おう

感想

働いてから自分は、受験勉強のような知識を詰め込む行為は慣れているけど、自分で考えて結論を出すのはかなり苦手(=避けてきた)だと自覚しました。また、考える力をつけるには、自分がどれくらい考えることに時間を使っているか自覚すること。そして、その時間を増やすことが必要と書いてあり、ハッとしました。

時折読み返して、自分の頭で考えることの大切さを忘れないようにしたいです。また、本を端から舐めて読んだり、コードを手ぐせで書き始めるような思考停止な行動は減らしていきたいです。

論点思考

概要

経営における最も重要な過ちは、間違った答えを出すことではなく、間違った問いに答えること。 解くべき問題「論点」を定義するプロセス「論点思考」の重要性や鍛え方を紹介した本。

ポイント

  • 4つのステップを経て、論点を確定してから分析や作業に取り掛かろう
    • 論点候補を拾い出す→論点を絞り込む→論点を確定する→全体像で確認する
  • 論点と現象を見極めることで、打ち手を狭めよう
    • 現象: 会社に泥棒が入った → (無数の打ち手)
    • 論点1: 防犯体制に不備がある → 防犯体制を整える
    • 論点2: 会社の評判が落ちた → イメージ向上の必要性検討
  • 論点思考力を高めるには「本当の問題は何か常に考える」、「視野・視座・視点"を変えて考える」ことが必要
    • 視野: 普段あまり見ていない方向に眼を向ける
    • 視座: 2つ上のポジションに付いたつもりで仕事する
    • 視点: 切り口を変えてみる(etc. 業界最下位だとしたら?、自分が顧客だったら?)

感想

与えられたタスクの意図を読み違えたり、ズレたことを考えてしまい出戻りが起きてしまうことがあったので読みました。 ここに書かれていること全部を意識して業務を進めるのはすぐには難しいかもしれないですが、まずはタスクの意図はなんなのか? 何を目的としているのか?から考えて作業に取り組む癖をつけたいです。

文章

コミュニケーション技術 - 実用的文章の書き方

概要

自分の考え、意見、経験を表す情報を提示し、読み手に行動を求める「実用文」の書き方を紹介した本。読みやすい文章にするワンポイントアドバイスと、身近な実用文(ex. 家電の説明書, 会議の議事録)にアドバイスを適応した添削例が交互に書かれている。

ポイント

  • 単語の選び方: 事実を正確に伝えられるように、どのようにも解釈できる単語の使用は控えよう
    • 曖昧な動詞を避ける: 見る→点検する, 試験する, 動かす→ 位置を変える, 運転する
    • 曖昧な形容詞を避ける(良く, 大幅に, 十分に → xx%)
  • 明瞭な文の作り方: ひとつの文が一つのまとまった考えを表現しよう
    • 受動態を多用しない: 動作主が曖昧になり文が長くなる
    • パラレリズムの原則を活用する: 複数文を羅列するとき、各文の構成(ex. 原因→結果)を揃えると読みやすい
  • パラグラフのまとめ方: 総論→各論の順で展開しよう
    • 総論のポイント
      • ×「市内に高速道路を作ることは論議に値する問題である」
      • ◯「高速道路は景観を損なうので、住民の多くは反対している」

感想

文章の構成に関する章も面白かったですが、どんな動詞・名詞・形容詞を使えばよいか、のようなミクロなアドバイスが日々の実務で取り入れやすかったです。

理工系のための良い文章の書き方

概要

学生・新入社員向けに、より良い文章を自力で書けるようになるための原則・コツ・ヒントを紹介した本。

ポイント

  • 文章を書く前に伝えるべきことをまとめた(主題文)を最初に書こう
  • 大事なことから書こう
  • 読み手が驚かない文章構成にしよう(既知の情報→未知の情報と繋げる, 読み手が予測しやすい文章にする)

感想

"コミュニケーション技術 - 実用的文章の書き方”にもあった通り 、ビジネス上の文章は読み手に情報を伝えることが責務です。読み手が何を知りたいかを考えることが、何より重要だと改めて認識できました。

自己啓発

ドラッカー・スクールのセルフマネジメント教室

概要

VUCA(変動/不確実/複雑/曖昧)な世の中で、自分の望みの結果を得るために、思考・行動に自覚的(=マインドフルネス)になる方法を紹介した本。なぜ人は無意識に望んでいない結果を得てしまうのか、どんな思考の癖をつければ望みの結果を得られるかなども解説してる。

ポイント

  • 人は今この瞬間の行動を選ぶことしかできない。ので、未来や過去に悩み続けず、今何を望んでいるか、どんな選択肢があるかに目を向けよう
  • 頑張っているのに、結果が出ない人はそもそも自分がどんな結果を望んでいるのか自覚していない
  • 人は脳のリソースを節約するために、日常で多くの行動を無意識に選んでいる。望んでいない結果は、どんな無意識の選択からもたらされてるか意識することで、得られる結果を変えられる

感想

自分は周りの評価を気にしてしまう性格なので、結果が求められる・評価される社会人という立場は思ったより、メンタルに負荷がかかるなと気づきました。適度なストレスはパフォーマンスを高めると書いてありましたし、そのような環境をむしろ味方につけて、パフォーマンスを発揮できるようにマインドフルネスを獲得していきたいです。今回紹介した本の中で一番読み返してます。

漫画 君たちはどう生きるか

概要

人間としてあるべき姿を求める、コペル君とおじさんの物語。二人の対話とノートを通じて、どう生きるかについて指針を与えてくれる本。

ポイント

  • 人間は道義に外れたことをすると、辛いという感情が芽生える。この性質があるから自己を顧みて、より良い自分になれる
  • 悔恨の想いにうたれるのは自分がそうでない行動をすることができたから。この想いに苦しむのは正しい道に向かおうとしているから
  • 世の中は太陽のような1つの大きな存在が動かしているのではなく、誰かのためにという一人一人の思いが動かしている

感想

社会人になってから、人生における仕事の比重の大きさ、想像以上の日々の忙しさを実感しました。同時に、どんな仕事をし、どうやって生きるかを考えないとあっという間に歳だけとってしまうなと思って読みました(真面目か)。迷いながらも、どう生きるかを深く考えること事態が、人生を良くしていく。自分の意識で自分の行動は変えられるといった、おじさんのアドバイスに勇気づけられました。

おわりに

読んだ本をまとめると、たくさんの本を読んでるけど、かなりの部分覚えていないし、何割を日々の仕事に活かせているだろうか...と気付かされました。。。中身を思い出すためにもこんな形で、定期的におすすめ本の紹介をやってもいいのかも!と思いました。

本を読むことで得られる、なんかやった感が目的で読んでいる部分もあったなと思います。知識を得たとしても、日々実践できる量は限られてますし、今後は読むペースを落としてでも1冊への理解を深めたり、読了後どう日々に生かすのかと考えることに重きを置きたいなと思いました〜。

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